映画「ベイビーブローカー」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.2)
あらすじと見どころ
赤ちゃんポストのある施設に一人の若い女性が赤ちゃんを置いていくところから物語が始まる。
ベイビーブローカーの男達によって赤ちゃんは連れ去られるが、訳ありのこの若い女性も男達と動向し、赤ちゃんの養父母を探し始める。目的はお金、のつもりが一緒に過ごしていく中でだんだん気持ちが変化していく
丁寧、繊細、優しさ、がこの映画の印象。
ちょっと暗い感じはあるけど、内容も俳優陣もとても良いのでおすすめしたい。
みんなそれぞれいい演技だったけど、中でもペドゥナが良かった。
はっきりした感じじゃなく、感じ取る部分が多いので、小さな子供にはどうだかわからないけど、誰が見てもいい映画だと思う。

感想

是枝監督作品を韓国を舞台に韓国の俳優陣が演じた作品。
それだけでも、どんな感じに仕上がっているのか見てみたくなるけど、作品の内容も良い。
心の中にそれなりの正義があるものの、やはりお金のために赤ちゃんを売っていたサンヒョン(ソンガンホ)とドンス(カンドンウォン)が、次第にそれだけではなくなっていく感情の変化、それを現行犯逮捕しようとじっくりと張り付いて捜査している2人の女性刑事(ペドゥナ、イジヨン)も、次第に現行犯逮捕したいという思いより赤ちゃんが無事に良い環境の家庭に迎え入れられることを望む感情の変化、この変化を是枝監督らしい少しずつ、丁寧にといった繊細なやり取りや描写を韓国の俳優陣が上質に演じる…さすがだなぁーと思った。
赤ちゃんの買い手を探すまでの間にみんなの関係性が少しずつ変化していって、是枝作品の万引き家族の家族みたいな、偽物の家族なんだけど、深いところで心が通じている擬似家族に見えた。
最後の夜に電気を消してソヨン(イジウン)が一人一人に生まれてきてくれてありがとうというシーンが印象深かった。
みんな親から愛されることなく育ってきたけど、自分たちは生まれてきてよかったんだと互いに言い聞かせているように感じた。
母性を抑えているソヨンに優しく接するドンスの色々な言葉はストレートですごく良かった。この2人がもっと早く出会えてたら、ソヨンも人殺しなんてしなくて済んだだろうに。。
逮捕されるシーン、静かに逮捕される様子が
胸を打った。覚悟している感じがなんともいえない悲しさがあったし、これで疑似家族が終わってしまったという悲しみもあった。
逮捕からのその後がまた良かった。ソヨンが赤ちゃんを子供を持ちたかったけど何らかの事情で持てなかったであろうスジンに託していて、出所したソヨンと疑似家族、みんなで赤ちゃんの将来を考えようという、一人で育てるんじゃなくみんなで育てていこうよっていう優しい世界観に心温まった。