映画「余命10年」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.0)
あらすじと見どころ
数万人に一人という不治の病を患う茉莉(小松菜奈
余命が10年であると知った茉莉は恋愛を遠ざけて過ごしている。
ある日、地元で開かれた同窓会で和人(坂口健太郎)と出会う。次第に恋愛感情へ発展していくものの自分の余命のことを考えあと一歩が踏み込めずにいる。
限られた時間を葛藤しながら過ごす茉莉の気持ちを茉莉を演じる小松菜奈がとても丁寧に表現している。
映像も綺麗で、桜が美しく切なく映る。
全世代、男女問わず観れる映画。特に若い人が見ると心にグッとくるものがあると思う。

感想

もうタイトルからして、悲しいお話だとわかる。序盤から、余命10年なんだな…と思って見ていると、茉莉(小松菜奈と家族のやり取りひとつひとつに悲しくなる。
2011年にビデオカメラの録画が始まり、2019年ではこれまで撮り溜めたものを削除していく。
10年という期間が長いと感じたり、短いと感じたり。
この余命の期間を充実してしたものにすればするほど、10年は短く感じてしまうからどうしても一歩踏み込めないでいる茉莉の葛藤がすごく伝わった。
和人と出会ってしまったことが茉莉を楽しくもさせるし悲しくもさせるし。
茉莉目線でこの映画を見れば、そんな感じだけど、和人目線でこの映画を見れば、、早く言って欲しかった、悔いが残らないように過ごしたい、余命10年と聞いたからといって僕の気持ちはかわらないのだから、僕が傷つくとか、僕の人生がとか、そんなことは勝手に考えないでほしいという気持ちだと思う。
和人目線でのこの物語も見たい。
茉莉の家族のキャストが、実力派ばかりで、娘が余命10年という状況におかれている現実を受け入れ、見守る父(松重豊)と母(原日出子)、そんな両親を見るのもつらいし、妹のことも悲しいしという姉(黒木華)。役者が良くて悲しさも倍増する。
特に父親の表情が見ていて心情が伝わった。
もちろん主役も良い。まず、茉莉役の小松菜奈リクルートスーツ姿がかわいかった。様々なシーンでの茉莉の葛藤もよく伝わった。スノボ旅行から帰ってきたとき、キッチンでお母さんの肩で泣くシーンは後ろ姿で、泣いてると分かる。茉莉の喜怒哀楽がセリフとかじゃなくてもこちらに伝わってくる。
和人役の坂口健太郎も、情けなさそうなところから、しっかりした男になろうと努力している感じが板についてる。茉莉ちゃん無しではぼくは生きていけないんだ感がよく出てる。
泣ける映画で間違いないとわかって見る映画。でも、ストーリーに泣かされることより、役者の細かい演技に登場人物たちの気持ちが伝わって泣くということか多かった。
余命の10年だから結末はタイトル通りだけど、まつりが人生幸せだったと本に描いてあったから、暗い気持ちで終わらずに済んだ。

映画「流浪の月」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.0)
あらすじと見どころ
家に帰りたくなくて公園にいた少女・更紗(広瀬すず)を、家に招き入れた孤独な大学生・文(松坂桃李)妙な同居生活だが、居場所を見つけた幸は文と楽しい日々を送る。だか、文は「誘拐犯」、更紗は「被害女児」となり、警察により2人は引き離される。15年後、2人は偶然の再会を遂げる。
しかし、2人とも恋人がいて、、
子供向きでは、ないです。
大人が見るやつです。
横浜流星の芝居がいままでの彼のイメージを覆す!

感想

文はロリコンだけど、ただ性的なところでロリコンというわけじゃなく、幼い子を守りたいと思う人で、誤解されて犯罪者となって、つらい人生を過ごしてきたんだな…完全に思い描いていた文という人が本当のところというのはもっと深いところで抱えているものがあった。その真実が最後に分かり衝撃を受ける。文の感情と言動を捉え違ってた部分とか、これ家でDVDとかで見てたらちょっと戻して見直したいところが色々あるなぁ…そうだったのか…とちょっと文に理解できなくてゴメンと言いたくなった。
そうだったのか…という気持ちが強くて見終わった後にしばらく考え込んでしまう。
更紗はおばさんの家で受けたいとこからの性被害のトラウマからぬけられず、文と過ごした日々も忘れられず、周りからは被害者であるという好奇な目で見られ、生きづらい。
文も誘拐事件の犯人とされ犯罪者となる、母親との確執、自身の体質、普通に暮らしたいとは思うけど、やはり自分という人間を誰にも話せず生きづらい。
この生きづらい2人が再会して、出会うべくして出会い、そして一緒になれれば一番いいのだけど、誘拐事件のことがあるからそうもいかず、これから2人でいたとしてもきっと生きづらい。
けど、2人でなら1人より心強いし、理解し合える人がお互い他に現れないと思うし、周りの目はこれからもあるだろうけど、なにより心が無理をしないでいられるこの2人が一緒にいることを選んだのならこれがハッピーエンドだと思う。
展開がすごく面白いとか、テンポがいいとかいう映画ではなく地味な作品ではあるけど飽きることはなかった。
広瀬すずがこういうシーンをするようになったのか。もう少女じゃないと分かってるけどおばちゃんは複雑…
そして、断然爽やかイメージの横浜流星が、、とんだDV粘着彼氏…でもなんかしっくりいってた。殴る蹴るのシーンが迫力があった。爽やかさ置いてきていた。でもこの亮も、かわいそうな人だなって所もある。亮はすっごいあったかい家庭で育ったほんわかした人と結婚するといいのに。行き場所がない人を選んでいるようだけど、行き場がいくらでもあるどんと構えてる人に身を任せればうまくいくと思う。
更紗の幼少期を演じた白鳥たまきさん、よくドラマで見かけるけど、スゴイ演技派。そして、幼少期と大人の更紗が雰囲気表情がすごくリンクしていた。
この映画のその核心な部分を表現するためのシーンで、松坂桃李のウエストの細さにびっくりした。かなり体重落としたんだろうと思う。全身を見た時はなんか心が痛くなった。
さすが松坂桃李
元々の体質や性質はあるだろうけど、心の芯の部分というのは子供の頃の環境がその子がどんな大人になるかに大きく関わる。
文が、お母さん僕のことをちゃんと見て、というシーンを忘れずにいようと思う。

映画「シン・ウルトラマン」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(3.6)
あらすじと見どころ
日本に禍威獣(カイジュウ)が出現し被害が発生している。政府は禍威獣特設対策室(禍特隊)を設立し禍威獣対策に当たっていた。
この禍特隊のメンバーである神永(斎藤工が逃げ遅れた子供を助けに行くが子供を庇い死んでしまう。この神永の体にウルトラマンが入り込む。それから禍特隊の神永は、変身すると巨大化し、ウルトラマンとなる。
見どころとしては、昔懐かしいのウルトラマンが現代に現れるといった新鮮味。
東京の夜景とウルトラマンと禍威獣とか。
ウルトラマン世代と子供世代が楽しめると思う。
わたしは西島秀俊さんが見たくて見た。
わたし的には、シンゴジラの方が面白かった。
映画館で見たから大スクリーンに映るウルトラマンのビジュアルはとても美しかったです。

感想

今、VFXとかCGとか、映像技術は進化していて、本当ならもっとリアルに作れるんだろうと思うけど、特撮らしさを最大限残して作ってるといった印象。
悪く言えば古臭いけど、昔懐かしいのジオラマ感とか昭和っぽい特撮の映像に、現代の都会のビルや夜景が合わさっていたシーンは物珍しくワクワク感があった。
ストーリー的には、子供のころに知っているうな特撮ヒーローらしさがあった。
人類の為に戦うウルトラマン。仲間思いのウルトラマン無敵のウルトラマン
特に意表を突いたところはなかった。
しかし、もし、こんなことが本当に起きていたら…
巨大怪獣が現れるのが日常化している日本という設定ではあるけど、そんなビルとか壊してたら人的被害とか経済的被害とか、半端ないんじゃないのかな。1匹でも現れたら日本は大変なことになるのに、何匹も現れている。なのに劇中の人々は日常を送れている。山奥の人が住んでいないところならまだしも、そんな都会で戦うならどんだけ建物がなくなるよ。普通なら国外に逃げたくなるよな。
防衛費とか、どんだけ使ってるんだ?何度も巨大怪獣が現れているし、日本は破綻するんじゃないのかな、、
…などと冷静考えてしまった。。
あと、セリフが科学のこととか記号とか、普通の人は聞き覚えのないワードが多くでてきたからそこに字幕とか解説文があったらもう少し理解できたかなぁとも思う。
映画全体の印象としては、あの映像のクオリティを良く思うか悪く思うかで評価は分かれてくるのかな。
役者も豪華なメンバーが揃っているから、おさえておきたい映画ではある。
ウルトラマン世代やウルトラマンマニアがよかったといえば、それでいいのだと思う。
大きいウルトラマンの姿は美しかった。姿勢や佇まいもキレイだった。変身前の神永さんの後ろ姿がウルトラマンによく似ていた。
子供と大人が一緒に見れる映画で、夏休み公開でもよかったんじゃないかと思った。

映画「ベイビーブローカー」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.2)
あらすじと見どころ
赤ちゃんポストのある施設に一人の若い女性が赤ちゃんを置いていくところから物語が始まる。
ベイビーブローカーの男達によって赤ちゃんは連れ去られるが、訳ありのこの若い女性も男達と動向し、赤ちゃんの養父母を探し始める。目的はお金、のつもりが一緒に過ごしていく中でだんだん気持ちが変化していく
丁寧、繊細、優しさ、がこの映画の印象。
ちょっと暗い感じはあるけど、内容も俳優陣もとても良いのでおすすめしたい。
みんなそれぞれいい演技だったけど、中でもペドゥナが良かった。
はっきりした感じじゃなく、感じ取る部分が多いので、小さな子供にはどうだかわからないけど、誰が見てもいい映画だと思う。

感想

是枝監督作品を韓国を舞台に韓国の俳優陣が演じた作品。
それだけでも、どんな感じに仕上がっているのか見てみたくなるけど、作品の内容も良い。
心の中にそれなりの正義があるものの、やはりお金のために赤ちゃんを売っていたサンヒョン(ソンガンホ)とドンス(カンドンウォン)が、次第にそれだけではなくなっていく感情の変化、それを現行犯逮捕しようとじっくりと張り付いて捜査している2人の女性刑事(ペドゥナ、イジヨン)も、次第に現行犯逮捕したいという思いより赤ちゃんが無事に良い環境の家庭に迎え入れられることを望む感情の変化、この変化を是枝監督らしい少しずつ、丁寧にといった繊細なやり取りや描写を韓国の俳優陣が上質に演じる…さすがだなぁーと思った。
赤ちゃんの買い手を探すまでの間にみんなの関係性が少しずつ変化していって、是枝作品の万引き家族の家族みたいな、偽物の家族なんだけど、深いところで心が通じている擬似家族に見えた。
最後の夜に電気を消してソヨン(イジウン)が一人一人に生まれてきてくれてありがとうというシーンが印象深かった。
みんな親から愛されることなく育ってきたけど、自分たちは生まれてきてよかったんだと互いに言い聞かせているように感じた。
母性を抑えているソヨンに優しく接するドンスの色々な言葉はストレートですごく良かった。この2人がもっと早く出会えてたら、ソヨンも人殺しなんてしなくて済んだだろうに。。
逮捕されるシーン、静かに逮捕される様子が
胸を打った。覚悟している感じがなんともいえない悲しさがあったし、これで疑似家族が終わってしまったという悲しみもあった。
逮捕からのその後がまた良かった。ソヨンが赤ちゃんを子供を持ちたかったけど何らかの事情で持てなかったであろうスジンに託していて、出所したソヨンと疑似家族、みんなで赤ちゃんの将来を考えようという、一人で育てるんじゃなくみんなで育てていこうよっていう優しい世界観に心温まった。

映画「死刑に至る病」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.2)
あらすじと見どころ
鬱屈した日々を過ごしている大学生・雅也のもとに24人を殺害した連続殺人犯、榛村から一通の手紙が届く。
「罪は認めるが、最後の事件は冤罪だ。犯人が他にいることを証明してほしい」という内容のものだった。
中学時代に榛村が営むパン屋の常連客であった雅也は榛村の願いを聞き入れ事件を独自に調べていく。だんだん真相に近づいていくがそこには思いもよらない事実が…
ホラーサスペンス!ハラハラドキドキの映画。
怖いしグロいので小さい子供向けではないものの、ホラーやサスペンスやハラハラドキドキが好きな人は満足のいく作品だと思う。
阿部サダヲ演じる榛村の演技に終始引き込まれる。
話も演技も美術も音も、どっぷりホラーサスペンス!

感想

見終わった後、なんとも言えないこの気持ち。後味の悪さ、なのか。これぞサスペンスホラーだという感じの終わり方をしている。
雅也がだんだん榛村に洗脳されていくのだけど、その雅也と同じ感覚で私も洗脳されていった。
榛村は最後の事件はやってないだろうと、私も榛村の無実を信じたし、もしかして本当は全部誰かの罪被ってる?とかも思ってしまった。
この映画の一番の見せ場のシーンは榛村と雅也の面会のシーンだと思う。
面会の度に毎回雅也の表情が変わっていて、雅也の心の動きや変化が見て取れた。
自分が榛村の息子かもと思い出してからの雅也の変化。榛村も言っていたけど、連続殺人犯の息子なんだと思ったらなんだか自分が普通じゃないという特別感みたいなものを身に纏っていた。歩き方も姿勢も変わって堂々とし出した。それはとても変な自信なんだけど。。
虐待されていた子供は暴発する可能性を秘めている…という通り暴発寸前の雅也。雅也があのまま一線を越えなくて本当に良かった。。
最後の面会のシーンで、根津さんの事件を雅也は榛村の犯行だと自分の推理を榛村に話をしていく、私もその時は雅也の推理が正解なんだと思って見るけど、そのあとに榛村が金山(岩田剛典)が嘘をついているというと、そうなのかも…とまたわからなくなる。榛村の言葉の発し方、表情、これにみんな騙されて洗脳されていく。最後の最後まで榛村に完全に翻弄された。雅也よりも翻弄されたかもしれない私…
阿部サダヲの演技に完全に洗脳されてしまった。
榛村は自分の罪を悔いてないし、むしろまだまだやれると思っているから、完全に異常者。このサイコパスを演じ切るってすごい…
岡田健史も心の変化を体現表現し、変化の段階をスムーズに演じていた。
ただ、この映画、さすが白石監督だという作品で、孤狼の血ばりのグロさとエグさ。
目を何回も覆った。これは、特殊メイクとか演出とか、音とか、影技法とか、様々なものがすごいんだろうと思う。
話も怖い、映像もすごい、役者もすごい、面白い!でも、、子供たちはこれは怖いから見ない方が。。
とにかく、ラストのシーン、雅也…その人と別れて、逃げて、どうか普通に暮らしていてほしい。

映画「ノイズ」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(3.8)
あらすじと見どころ
いずみ農園を営み、自身が生産している黒いちぢくがヒットし、まわりの期待を背負い、これから自分が育ててもらった地元に恩返しをしようと頑張っている好青年の圭太(藤原竜也)が、島に突如現れた変質者を殺してしまう。そしてその死体を幼馴染のじゅん(松山ケンイチ)と警官の守屋(神木隆之介)と共謀して隠蔽しようとする。
なんとか取り繕えたように見えたが、また次の死体の隠蔽をすることに。県警からやってきた刑事(永瀬正敏)がこの島の違和感を感じ少しずつ真相へと迫ってくる。
予想外の展開になる。先が読めない。
といった点では、面白い映画。
気持ち的には、見た後はちょっと、モヤモヤするような、荒々しいような、なんかいい気分はしない。
子供にはおすすめしないかな。話の内容も、映像的にもところどころエグいし。
サスペンスが好きな人はサスペンス感を楽しめる映画ではある。

感想

責任感が強く、周りの期待を背負った人が陥ってしまったかわいそうな話…という感じ。
小さい島の住民の団結力が裏目に出てしまっている。
基本みんないい人なんだけど、島の団結力の洗脳みたいなのがあって、善悪も、島の為にが前提で決まってるような。
一歩離れてみれば、これは間違ってるとか変だなと思えるけど、映画見てる間は自分もすっかり島の住民目線。一連の犯行、隠蔽がうまくいって、いちぢくが成功したらいいのに、などと思ってしまう。
何度も、県警さっさと島から出て行けよーと、私も島の住民Aになってた。
両親がなくなって、島の人たちに育てられたからと自分のいちぢくで島に恩返しをしようという圭太はこの先有望な青年だったはず。それが一つの勘違いから人を殺してしまい、それを隠蔽するためにどんどんドツボにはまって不幸になってしまったのが悔しい限り。最初に自首していたらなぁ…あそこで自首するのが正常な判断なんだけど。島のかさぶたにならなきゃとか島の繁栄のためっていう考え方が判断を狂わせてしまっている。自分の為に生きればいいのに。
そもそもは前科ありで、出所すぐ保護司を殺害したこみさか(渡辺大知)が1番悪い!あれは圭太じゃなくても勘違いしかねない。怪しさ満点。あいつさえ島に来なければ!!善意でお世話してくれる保護司の人を!!ほんとに許せん。
市長にもビックリさせられた。あの市長むちゃくちゃだ。
1番かわいそうだったのは守屋(神木隆之介)のお母さん(鶴田真由)だと思う。愛情深く育てて、息子も警官になってこれからという時に。悲しかった…
最終的にこの物語の軸となっていたのはジュン(松山ケンイチの闇。。それでも受け入れる友達思いの圭太は人が良すぎる。
やたらと死人が出るし、後味としては色々悪かったけど、飽きさせない展開になっていたし、ジュンの闇は予想がつかなかったので、サスペンス要素が楽しめる映画だった。

映画「前科者」見どころ〈ネタバレなし〉と感想〈ネタバレ〉

見どころ

独自評価 ★★★★☆(4.1)
あらすじと見どころ
WOWOWでドラマ化され、映画化へ。
ドラマでは前科者たちを更生へ導きたいという想いでコンビニでアルバイトをしながらも日々保護司として前科者の心に寄り添っていこうと懸命な新米保護司阿川佳代(有村架純の物語が描かれていたが、今回映画では、その後の佳代さんが担当する前科者の1人、工藤誠(森田剛の物語になっている。工藤は順調に更生していくかのように見えていたが、連続殺人事件が起こり、その容疑者として工藤が警察にマークされる。
そして、なぜ佳代さんが保護司になったのかという理由もこの映画で明らかになる。
工藤を演じる森田剛の芝居やたたずまいが見事。そして佳代さんの真っ直ぐな真面目っぷりを演じる有村架純もぴったりはまっている。
PG12なので子供にはちょっと不向きな場面も少しあるけど、内容、キャスト陣がとても安定している映画なので大人の人にはおすすめしたい。

感想

WOWOWのドラマがあり、その続編映画版。
私はこのドラマを見ていたから何の問題もなくすんなり入れたけど、映画から見る人にはどうだろう。佳代さんの保護司としての活動に理解のあるコンビニ店長については説明はいらないと思うけど、みどりさんについてはもう少しエピソードがあった方が入りやすかったんじゃないかと思った。
でもこの映画の中心は元殺人犯で仮出所中の工藤(森田剛と佳代さんの過去だからまあそこがわからなくても見れるけど。
保護司の仕事って、報酬がない。なのにやるって、余程何か信念があって人間ができた人じゃないとできない仕事だと思う。
佳代さんは助けられた命を保護司の仕事をすることで、加害者をなくしていこうとしている…若いのに、尊敬する。私には絶対にできない。犯罪者がまた犯罪を犯さないようにすることが治安に繋がると頭では分かっているけど…
今回も登場人物、元殺人犯の工藤の生い立ち、工藤の弟の生い立ちを知ってかわいそうで涙も出るけど、実際寄り添えるかというと、やっぱり殺人犯だから怖いと思ってしまうし信じきれるか自信もない。
素晴らしき世界という映画を見てからもずっと考えるけど、加害者がいて被害者がいて、被害者から加害者になったり、加害者がまた加害者になったり、とか、負の連鎖をばっさりどこかで断ち切らないといけないとは思う。
その為に犯罪者の社会復帰と更生は絶対必要なことだというのは間違いないけど。被害者や被害者家族からしたら許せないものは許せないんだよなー。普通に生活してるところ見たら腹立つよなー。と思う。考え出しても解決しないテーマ。
この映画、森田剛の演技が素晴らしかった。こっちの心をぐっと持っていく。今回はめっちゃ同情した。この工藤という人の重い人生を知ってこっちも重く苦しくなる。
異常犯罪者やらせたら本当に異常犯罪者に見えるし、不幸な人演じるのうますぎる。
次は大金持ちとか、善人役を見てみたい。
同じ被害者家族でも、負の連鎖を断ち切れず復讐する工藤の弟みつると犯罪者を許さないと警官になった滝本、真逆をいってる。
環境…なのかな、やっぱり。
佳代さんと滝本、再会して一瞬なんか火がついたけど、すぐ鎮火…のシーン。そこらへんや、殺害シーンがちょっと子供向けではないからPG12。
大人向けの映画。
できれば、ドラマも見てから、この映画見たほうが断然面白いと思う。
佳代さんにも素敵な恋人ができるといいな。